食べ物を起因とする健康上のリスクには、O157など細菌による食中毒や、ふぐ毒など自然由来の毒性による中毒、ダイオキシンなど化学物質による発がん性の問題など、さまざまなものがあります。また近年では遺伝子工学の発達により、遺伝子組み換え食品についても健康上の影響について議論が行われています。
食品による健康被害を防ぐ施策の一環として、食品中に栽培時や加工時に使用した農薬や食品添加物が一定量以上に残留し、健康に害を及ぼさないよう、公的機関により残留基準値が定められています。2006年5月に施行された残留農薬等を規制する制度全体は「ポジティブリスト制度」と呼ばれています。その概要については厚生労働省が作成した下の図に良くまとめられています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060516-1.pdf
厚生労働省の審議会で大学の先生ら専門家が話し合い、各農薬が食品に残留しても人体に問題が無いとされる残留基準値が設定されます。この基準値設定に科学的な根拠を与えるのが、一日摂取許容量(ADI)です。ADIは厚生労働省とは別の役所である内閣府・食品安全委員会で決められています。残留基準値は赤ん坊やお年寄りなど個人差を勘案し、人体に影響がないように設定されています。私たちを心配させた「メタミドホス汚染米」事故の例で言えば、たとえ基準値の6倍の残留値が検出されたとしても、健康上の心配は有りません。その理由が下記の図表でわかりやすく説明されています。
http://www.fsc.go.jp/emerg/meta.pdf
食べ物が安全であることは、生活の基本です。当社は海外の各産地に自社パッキング工場を持つ「メーカー」としての責任を果たすべく、「食の安全」について積極的に取り組んできました。日本の残留基準値に適合する使用農薬の選択や使用頻度の指導を現地スタッフが生産者に対して実施しています。
また、フィリピンやタイでは過去の残留基準値違反から、現地の公的機関での残留農薬試験にパスしたものだけが輸出を許可される制度が採られています。当社ではそれに加え、日本の検査機関に試験サンプルを送り一斉分析検査を行うなど、基準値を遵守するための対応を行っています。これまで述べてきたとおり、日本の残留基準値は非常に厳しく設定されていますので、残留農薬の問題はもはや「安全性(Safty)」の問題というよりも、「法令遵守(Compliance)」 の問題といえるでしょう。当社では今後も残留農薬の問題に積極的に取り組んでまいります。