食の安全、農薬問題への取り組み Chemicals and Food Safety

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皮肉な農業問題

もしも農薬を使えなかったら世界は飢えるだろうと言われています。また、店に害虫や病気に冒された醜い果実と、農薬を使ったがきれいな果実が並んでいたら、消費者はどちらを選ぶかかという問題があります。これは産地にとっては、農薬をしっかり使わないと、売れる果物を収穫できないという問題につながっています。
農薬に関する食の安全を確保するため厚生省は、食品ごとに許容される農薬最大残留値(MRL)を定めています。これは、成人が一生食べ続けても安全な量(ADI)や、摂取量、減衰値などを斟酌して決めらますが、国産品に甘く、輸入品に厳しいのが実情です。中国餃子問題に代表されるように外国品は信用できないという印象を与えていますが、実は、消費者は基準の甘い国産品で充分農薬を摂取しているので輸入品に与える枠はない、という事情があると考えざるを得ません。我々は、国策に不満を鳴らすより、輸入フルーツは非常に安全という誇りをもって、次のような取り組みを行っています。

分別仕分け、特別残留試験、実験農場

我々は、先進国においては、IPハンドリングという方法を実施しています。これは、畑から輸出までのあらゆる作業を、安全なものだけを峻別して、徹底的に分離して取り扱う方法で、場合によっては木一本一本に印を付けます。
生産構造が異なる東南アジアのある国においては、農薬使用履歴の不透明さから分別自体が難しいケースが多く残留検査に力を注いでいます。現地試験所の検査とは別に日本の試験所にサンプルを空輸し、貨物到着前に200項目以上にわたる検査を行っています。輸入品に対しては、多くの農薬が昔だったら検出限界であった0.01ppmという厳しい基準が適用されるため、世界有数の検査精度を誇る日本の試験所に判定を委ねることにしたのです。
0.01ppmとは例えて言えば、1億個の米粒の中の一粒でも黒だったら違反ということです。これは実質的には使用禁止を意味し農家にとっては深刻な問題です。我々は単に「使うな」ではなく、代替農薬やその他の技術によって良い果物を生産できないかを、農家と共に研究するために実験農場を運営しております。マンゴーなどは、収穫期間が短く、毎週のように違う畑から買い付ける必要があります。実験の成果を広め、残留検査をしないで済む日が来ることを夢見ております。

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