トロピカル・フルーツの取り扱い上の難しさは、検疫や輸出上の諸規制のほか、鮮度と熟度というフルーツの命にかかわる問題があります。国産フルーツの恵まれた点は、出荷時の規制がない上、市場までの時間、距離に悩まされず、鮮度や熟度を自在にコントロールできることです。 地球は狭くなったとは言え、輸出地から日本までの輸送時間は依然深刻な問題です。そのため、ある種の果物は相変わらず航空便に頼らざるを得ません。 一方、主な熱帯果実は追熟果実であるという特徴があります。つまり、樹上で完熟するのではなく、木からもいでから熟度進行が加速するのです。 写真下のオーストラリア・マンゴーなどは木で完熟させては美味しくないというシロモノです。この熟度進行と日本までの旅の時間を逆算し、日本の気候などをも考慮してちょうど良い熟度で出荷するのが輸出者の役目です。
しかしながら、輸出者の熟度調整には限界があります。それは、日本のお得意様により望まれる熟度が違うためです。つまり、レストランではすぐに食べれるレディ・トゥ・イートの状態での納品が条件ですが、小売店では完売までのタイムラグを考慮する必要があります。また、各種贈答品としては、宅配時間や天候も考慮しなくてはなりません。色々なスイーツに使われる傾向が急増していますが、これもそれぞれの要件があります。熟度調整は原則温度管理によって行いますが、最後はベテラン・スタッフ達の経験を元にした選別、リパックが決め手です。弊社は長年デリバリー業務に従事し、色回しや多用な小分け、配送を行っております。
最も美しい赤いマンゴーとして知られるケンジントン種も工場に入ったばかりの時は写真左のような色目。右の写真のキート種も当初は非常に濃い緑が勝っている。マンゴーは総じて緑が抜けていくのが追熟の過程と言える。